副業3年目・年収85万円のケースで見る確定申告の実務
副業を本格的に始めて3年目、というモデルケースで考えます。1年目はブログ収入が年間12万円ほど。「20万円を超えたら確定申告が必要」と聞いても、まだ自分には関係ない——多くの人がこの段階で油断します。
しかし2024年、2025年と副業収入が増えていくと、確定申告は避けられなくなります。2026年の確定申告(2025年分の所得)で副業収入が年間85万円まで増えたケースでは、相応の準備が必要になります。
ここでは副業の確定申告について、つまずきやすいポイントや「もっと早く知っておきたい」項目を含めて、具体的に整理します。
副業収入の変遷と確定申告の必要性(モデルケース)
まず、副業収入がどのように変化していくかを示します:
- 2023年:ブログ収入12万円(確定申告不要)
- 2024年:ブログ+YouTube収入28万円(確定申告必要)
- 2025年:ブログ+YouTube+ライティング85万円(確定申告必要)
副業所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。ここでの「所得」は収入から必要経費を引いた金額のこと。最初は「収入」と「所得」の違いでつまずく人が非常に多い部分です。
2026年確定申告の基本スケジュール
2026年の確定申告(2025年分)のスケジュールは以下の通りです:
- 申告期間:2026年2月16日〜3月15日
- 所得税の納付期限:2026年3月15日
- 個人事業税の納付期限:2026年3月15日
- 消費税の納付期限:2026年3月31日(該当者のみ)
最も多い失敗が、2月になってから慌てて準備を始めることです。1月から準備を始めても、書類の整理だけで2週間はかかります。
副業収入の種類別・確定申告のポイント
雑所得として申告する副業(メインになりやすい区分)
ブログのアフィリエイト収入やYouTubeの広告収入は、通常「雑所得」として申告します。2025年分の内訳例:
- ブログアフィリエイト:年間45万円
- YouTube広告収入:年間25万円
- ライティング案件:年間15万円
- 合計収入:85万円
雑所得の場合、必要経費を差し引けるのがポイントです。計上できる経費の例:
- レンタルサーバー代:年間12,000円
- ドメイン代:年間3,000円
- 撮影機材:年間45,000円
- 書籍・勉強代:年間18,000円
- 通信費(按分):年間24,000円
給与所得との合算で注意すべきこと
本業の給与が年間420万円のケースで見ます。副業の雑所得と合算すると総所得が上がり、所得税率も変わってきます。
実際に計算してみると:
- 本業のみの場合の所得税率:10%
- 副業込みの場合の所得税率:10%(ギリギリ20%の壁は超えず)
ただし、住民税は翌年に影響するので、2026年6月からの住民税が上がることは覚悟しておく必要があります。
事業所得か雑所得かの判断基準
副業収入が継続的で規模が大きくなってくると、「事業所得」として申告することも検討できます。ただしこの規模では、雑所得のままとする判断が一般的です。
税務署が示している判断基準は次のとおりです:
- 継続性:3年以上継続している
- 独立性:本業とは独立した活動
- 営利性:利益を上げる意図がある
- 反復継続性:定期的に収入がある
確定申告書の作成でつまずきやすいポイント
e-Taxでの申告手続きと準備
e-Taxでの確定申告は、最初のセットアップが意外と大変です。特にマイナンバーカードの読み取りでつまずくケースが多くあります。
準備したもの:
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー(2,000円で購入)
- 源泉徴収票(本業分)
- 副業収入の支払調書(ない場合は自分で収入を集計)
- 経費の領収書・レシート
e-Taxは画面の指示に従って入力していけば難しくありません。ただし、副業収入の入力では「雑所得の種類」の選択で迷いやすい点に注意が必要です。
経費計算で気をつけたい按分の考え方
副業で一番悩むのが経費の按分です。自宅でブログを書いている場合、家賃や光熱費の一部を経費にできるかどうかが論点になります。
按分は基準を明確にすることが大切です。一般的な考え方は次のとおり:
- 通信費:副業使用時間 ÷ 総使用時間 = 30%
- 電気代:副業作業時間 ÷ 在宅時間 = 20%
- 家賃:作業スペース面積 ÷ 総面積 = 15%
ただし、家賃については副業の規模が小さいうちは計上を見送るのが無難です。無理に経費を増やそうとするより、明確に説明できる経費だけを計上する方が安全です。
源泉徴収されている副業収入の処理
ライティング案件の中には、源泉徴収されているものがあります。年間15万円の収入に対して、10.21%が源泉徴収されるのが標準です。
この場合、確定申告で正しく処理すれば、源泉徴収税額が還付される可能性があります。このケースでは8,000円ほどの還付になる計算です。
節税対策と来年に向けた準備のコツ
ふるさと納税の上限額再計算
副業収入が増えると、ふるさと納税の上限額も変わります。従来6万円が上限だった人でも、副業収入を含めて計算し直すと8万円まで上限が上がる、というのはよくあるパターンです。
計算には総務省のシミュレーションサイトを使いましたが、副業収入も含めて入力することで、より正確な上限額が分かります。
小規模企業共済やiDeCoの検討
副業収入が安定してきたら、小規模企業共済への加入も選択肢になります。ただし、雑所得の場合は加入できないため、事業所得への変更とセットで検討する必要があります。
iDeCoの所得控除は年間27.6万円が上限ですが、小規模企業共済なら年間84万円まで所得控除が受けられます。副業収入が100万円を超えてきたら、本格的な検討ラインです。
帳簿付けの習慣化で来年を楽にする方法
確定申告で一番大変なのは、1年分の収入と支出をまとめて整理することです。月1回は帳簿をつける習慣を作るだけで、負担は大きく減ります。
定番は家計簿アプリの「マネーフォワード」。副業専用のカードを作り、経費はすべてそのカードで支払うようにすれば、経費の管理はかなり楽になります。
2026年確定申告の変更点と注意事項
インボイス制度の影響(該当する人のみ)
2023年10月からインボイス制度が始まりましたが、この規模の副業であれば免税事業者のままというケースが大半です。ただし、取引先から「インボイス登録してほしい」と要請されることは増えています。
インボイス登録を検討する目安は次のとおりです:
- 年間売上が300万円を超える
- BtoB取引が中心
- 取引先からの要請がある
この基準に達していなければ、2026年も免税事業者を続けるのが基本的な判断になります。
電子帳簿保存法への対応
2024年1月から電子帳簿保存法が本格施行されましたが、副業レベルではそれほど大きな影響はありません。ただし、電子で受け取った領収書やレシートは、電子のまま保存する必要があります。
Googleドライブに「2025年_副業経費」のようなフォルダを作り、月別に整理して保存する運用が扱いやすくなります。
マイナンバーカードとe-Taxの利便性向上
2026年のe-Taxは、さらに使いやすくなる予定です。スマートフォンからの申告もより簡単になり、マイナンバーカードの読み取り精度も向上しています。
スマートフォンだけで申告を完結させることも可能になっています。パソコンがなくても確定申告ができれば、出先でも作業できて便利です。
まとめ
副業の確定申告について、具体的なケースをもとに整理してきました。「面倒だ」と感じられがちですが、実際にやってみると自分の収支を整理する良い機会になります。
特に重要だと思ったポイントをまとめると:
- 早めの準備が大切:1月から書類整理を始める
- 経費の按分は合理的に:無理に経費を増やそうとしない
- 日々の記録が重要:月1回は帳簿をつける習慣を
- e-Taxの活用:慣れれば税務署に行くより楽
- 専門家への相談:迷ったら税理士さんに相談する
副業収入が20万円を超えたら、確定申告は避けて通れません。でも正しく申告することで、節税効果もあるし、副業を本格的なビジネスとして捉えるきっかけにもなります。
最初は不安でも、一度経験すれば「来年はもっと効率的にできる」と見通しが立ちます。怖がらずに、しっかりと準備して確定申告に臨んでください。
よくある質問(FAQ)
Q: 副業収入が19万円の場合、確定申告は不要ですか?
A: 副業の所得(収入から必要経費を引いた金額)が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税の申告は必要な場合があります。また、源泉徴収されている場合は、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。収入が19万円でも、経費を差し引いた所得で判断することが大切です。
Q: 副業がバレないようにする方法はありますか?
A: 確定申告書の「住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選択することで、副業分の住民税を自分で納付できます。ただし、完全にバレないという保証はありません。会社の就業規則を確認し、可能であれば事前に相談することをお勧めします。
Q: 確定申告を忘れてしまった場合はどうなりますか?
A: 期限後申告となり、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。ただし、気づいた時点で速やかに申告すれば、ペナルティを最小限に抑えられるケースが多くあります。故意でない場合は、税務署も相談に応じてくれることが多いです。忘れてしまった場合でも、できるだけ早く税務署に相談することが大切です。