成田のベンチで財布を開けたのは午後11時半だった。
8,400円。明日の午前7時15分発のバンコク行きに乗る前夜、財布の中身がこれだ。格安航空券34,800円は先月の給料日に払った。1泊2,100円の安宿を5泊分、エポスカードで決済した。手取り18.2万から家賃6.8万が消えて、残りで1ヶ月生き延びた後の全軍資金がこれしか残っていない。
保険には入っていない。いや、正確には「入っていないと思っていた」。
財布の奥から取り出したエポスカードの裏を、3年間で初めてちゃんと読んだ。
— エポスカードの海外旅行傷害保険とは、年会費無料のエポスカードを保有しているだけで自動的に付帯される海外旅行保険を指す。申し込み不要、保険料ゼロ。カードを持って出国するだけで有効になる。
3年間、このカードを持ち続けて、一度もそれを知らなかった。
「自動付帯」と「利用付帯」、この違いで補償が消える

クレジットカードの海外旅行保険には2種類ある。「自動付帯」と「利用付帯」だ。
利用付帯は、旅費の一部(航空券・ホテル代)をそのカードで支払った場合にだけ保険が有効になる。出発前に旅費を当該カードで払っていないと、現地で病気になっても補償されない。楽天カードやイオンカードの多くが利用付帯に該当する。
自動付帯は、カードを持っているだけで旅行中ずっと補償が動く。
エポスカードは自動付帯だ。
つまり、格安航空券を現金で買っていても、ホテルを別のカードで払っていても関係ない。エポスカードを財布に入れて出国すれば、それだけで補償が始まる。新NISAの積み立てやSBI証券・楽天証券との連携目的でエポスカードを使っている人でも、旅行目的の決済実績がゼロでも保険は有効という点を先に押さえておいてほしい。
補償額の実態と、正直に言って足りないところ

エポスカード(年会費無料版)の海外旅行保険の補償内容は以下の通りだ(2026年4月時点、エポスカード公式情報による)。
| 補償項目 | 補償額 |
|—|—|
| 傷害死亡・後遺障害 | 最高500万円 |
| 傷害治療費用 | 最高200万円 |
| 疾病治療費用 | 最高270万円 |
| 賠償責任 | 最高2,000万円 |
| 携行品損害 | 20万円(免責3,000円) |
| 救援者費用 | 最高100万円 |
疾病治療270万円という数字は、タイの医療費水準から考えると相当手厚い。在タイ日本大使館の渡航安全情報によれば、バンコクの私立病院での盲腸手術は30〜60万円程度とされている。胃腸炎・食中毒・骨折といった旅行中によくあるトラブルは、エポスカード1枚でほぼカバーできる計算だ。
ただし携行品損害の免責3,000円と上限20万円には注意が必要だ。 MacBookやミラーレスカメラを持ち込む場合は、別途クレカ付帯か損保の個別加入を検討した方がいい。俺の場合はスマホとAirPodsとリュックだけだったので問題なかったが、機材を持ち歩くクリエイターや長期滞在者には補償が薄い。
使い方:出発前にやっておくべき3つのこと
バンコクから帰ってきてから改めて調べた。俺のやり方は半分正解で、半分は準備不足だった。
第一に、保険付帯証明書を事前に用意しておくこと。
エポスNetにログインして「海外旅行傷害保険付帯証明書」を発行できる(PDFダウンロード対応)。現地の病院で「クレジットカード付帯保険で支払います」と伝えるときに提示を求められる。俺はバンコクで腹を壊したとき、この書類がなくて受付スタッフにグーグル翻訳で10分間説明し続けた。あれは消耗した。出発3日前にエポスNetを開いてPDFを落としておくだけでいい。
第二に、緊急連絡先を事前に控えておくこと。
エポスカードの海外緊急サービスの番号はカード裏面に記載されている。海外からかける場合は国番号のかけ方が国によって違うため、あらかじめスクリーンショットを撮るかエポスアプリのメモ機能に保存しておくと確実だ。現地でSIMを入れ替えている場合も、Wi-Fiがあれば発信できる。
第三に、現地でレシートと診断書を必ず保管すること。
帰国後に保険金を請求する際、現地の領収書・診断書・処方箋が必要になる。職場のエンジニアがバリで転倒骨折したとき、「現地の領収書が手元にない」という理由で保険請求に手間取った。現地で書類を受け取った瞬間に写真を撮るだけでリスクを大幅に下げられる。
エポスカード海外旅行保険の核心をここで整理する
エポスカード(年会費無料)の海外旅行保険は、自動付帯・保険料ゼロ・疾病270万円という組み合わせが強みだ。 ただし使うには「事前の証明書発行(エポスNetからPDF)」「緊急番号の控え」「現地書類の保管」の3点が前提になる。帰国後30日以内に保険金請求の連絡を入れることも必須。この手順を踏めば、年会費無料のカード1枚が実質的な旅行保険として機能する。
読者の声:出発前にカードを使わなくていいの?
結論:使わなくていい。カードを持って出国するだけで有効。
エポスカードは自動付帯のため、旅行費用をエポスカードで支払う必要はない。安宿5泊分をエポスカードで決済した俺は結果的に利用付帯の条件も満たしていたが、現金で払っていても保険は有効だった。楽天証券×楽天カードやSBI証券×三井住友カードで積み立てをしている人がエポスカードを旅行保険専用に持つ、という使い方も理に適っている。投資と旅行保険のカードを分けて管理するのは合理的な判断だ。
読者の声:エポスゴールドにすると補償はどう変わる?
結論:疾病治療が270万→500万円に増額、傷害死亡・後遺障害も500万→1,000万円になる。
エポスゴールドカードは年会費5,000円(年間50万円以上利用で翌年から永年無料)。疾病治療費用が500万円に上がり、家族特約も追加される。手取り18.2万・貯金12万の俺には今の無料版で十分だが、子連れの海外旅行や長期の海外赴任を視野に入れるなら乗り換えを検討する価値はある。毎月コンビニでおにぎりと水しか買えない状況で無理にゴールドに切り替える必要はない。
読者の声:帰国後の保険金請求、何をすればいい?
結論:帰国後30日以内にエポスカードへ連絡し、必要書類を揃えて郵送する。
必要書類は以下の4点だ:
現地で英文の診断書をもらえなかった場合、日本語訳の証明書類で代替できるケースもある(エポスカードのサポートに事前確認を推奨する)。書類の郵送先はエポスカードの公式サイトに記載されており、ダウンロードした請求書に宛先が印字されている。
固定費を削って旅費を作った話と、そこから先
バンコク旅行の原資は、光回線の乗り換えで生まれた。
去年の秋まで俺はNTT東日本のフレッツ光を使っていた。月額6,800円。スマホはSoftBankで月4,200円。合わせて月1.1万円が通信費に消えていた。給料日の2日前には財布に2,800円を切る生活で、ここを削らない理由がなかった。
乗り換えたのはソフトバンク光だ。スマホがSoftBankなので「おうち割光セット」が適用されて、スマホ代が毎月1,100円下がった。光回線の月額も実質5,720円になり、さらにキャッシュバック40,000円・工事費実質無料という条件が付いた(2026年4月時点のソフトバンク光公式情報による)。初年度の実質負担はほぼゼロに近い。
固定費が月2,280円下がって、キャッシュバック40,000円が口座に入った。 この40,000円がそのままバンコク航空券34,800円に化けた。
乗り換えは平日昼間の電話1本、工事の立ち合いは30分で完了した。SoftBankのスマホを使いながらフレッツ光を払い続けている人間には、損のない話だと思っている。まずは公式ページで月額と特典を確認するところから始めてほしい。代理店経由でないと40,000円のキャッシュバック条件が出てこないことが多い。
固定費の削減で月の余剰が2,000円を超えてから、今は月1万円だけDMM株のNISA枠に積み立てを始めた。新規口座開設+1回取引で最大10,000円相当の特典がある。SBI証券・楽天証券と比較して「まず1口だけ買ってみる」という最初の1歩が踏み出しやすいシンプルなUIで、2026年のNISA口座として使い始めるのに悪くない選択肢だと感じている。
出発3日前にエポスNetを開くだけでいい
エポスカードの海外旅行保険は、無料で持てるカードに無料でついてくる。使い方を知らなければ現地で詰む。知っていれば、旅行保険に別で月数百円〜数千円を払わなくていい。
手順を最後に整理する:
成田のベンチで知っていれば、あの10分間のグーグル翻訳は必要なかった。次の旅では出発3日前にエポスNetを開く。それだけで、財布の中の8,400円を少しだけ安心に変えられる。
旅費を捻出するために固定費から削りたいなら、ソフトバンク光の公式ページでまず月額シミュレーションを確認してほしい。キャッシュバック40,000円と工事費実質無料の組み合わせは、今すぐ動ける人間にとって具体的な旅費になる。


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