3月の終わりに、派遣先の人事担当者からこう言われた。「次の更新、少し難しいかもしれなくて。」
席に戻って、スマホの銀行アプリを開いた。残高24万円。東京・新宿の派遣先まで電車で40分。38歳、派遣3年目、手取り22万。家賃と食費と光熱費を引いたら毎月1万円前後しか残らない。リクルートで買ったスーツは5年着回しで今も現役で、革靴は近所の靴屋で買った7800円のもの。派遣が切れたら、24万円の貯金は4ヶ月で底をつく計算だ。
— エンジニア向け転職エージェントとは、IT・エンジニア職への転職を専門とするキャリア支援サービスを指す。求人企業がエージェントに採用費を支払う仕組みで、転職者側の費用は原則無料。専任のキャリアアドバイザーが求人の紹介・書類添削・面接対策を担う。
その夜、半年前にダウンロードして以来ほとんど開いていなかった転職アプリを3つ確認した。どれも最終ログインが2ヶ月以上前になっていた。
転職アプリ3つ入れた俺が、2週間で全部やめた理由

転職アプリを起動してみて最初に気づいたのは、「求人数が多いこと」と「自分に合う求人があること」は全然違うという話だ。
毎日届く通知は「ITエンジニア募集・急募・経験者優遇」の一括プッシュ。年齢もスキルも関係なく飛んでくる。自分でスペックを入力して、気になった求人に応募ボタンを押す。2週間で4社に応募して、4社全部から書類落ちの通知が来た。
理由は今になれば分かる。38歳・派遣3年という経歴は、採用担当がスクリーニングする段階で弾かれやすい。自己応募では、書類が担当者の目に触れる前にAIフィルタで落とされることもある。転職アプリのアイコンをフォルダの奥に移した3週目に、転職エージェントへの登録を初めて真剣に調べた。
エンジニア転職エージェントで何が変わるか

転職エージェントと転職アプリの最大の違いは「情報の非対称性を解消できるかどうか」だ。
エージェントの担当者は、求人企業の採用担当と日常的にやり取りしている。「この求人は38歳・派遣でも書類通過率が高い」「ここはスキルで判断するので年齢はあまり関係ない」という情報を内部で持っている。自分で100件の求人を見るより、担当者のフィルタを通した10件の方が、実際の面接数は増える。
2026年のエンジニア転職エージェントで名前が挙がるのはGeekly(ゲーム・Web系に強い)、レバテックキャリア(スキルシート作成のサポートが手厚い)、マイナビITAGENT(中堅SIer・受託開発の求人が多い)などだ。2〜3社に同時登録して初回面談の質を比べるのが、2026年時点のスタンダードな使い方になっている。
初回面談で「あなたのスペックでは正直難しいポジションが多い」と言えるエージェントは信頼できる。「とりあえず10社応募しましょう」と言ってくる担当者は、後で時間を無駄にさせられる可能性が高い。
契約更新を断られてから内定まで、7週間の記録
人事担当者に「更新は難しい」と言われた翌日、エージェント2社に登録した。初回面談は登録から3日後と5日後に設定された。
最初の面談で担当者に言われたのは「38歳・派遣のバックエンドエンジニアはポジションが限られる。ただし、Java経験3年以上・AWSの構築経験があれば、今需要が増えている中規模SaaSの運用チームに合う求人がある」だった。
提案された求人は5社。書類が通ったのは3社。最終的に内定が出たのは1社。年収は手取り換算で月25万になった(派遣の22万から3万円増)。初めてボーナスもつく条件だった。
転職エージェントに登録してから内定まで7週間。 転職アプリで3週間使って4社落ちた経験と比べると、体感の進み方がまるで違った。
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ここで一度、この記事全体の要点を整理する。
エンジニアが転職エージェントを使うべき理由は、①自己応募では見えない採用担当の評価基準を担当者経由で把握できること、②38歳・派遣という条件でも書類通過率が上がること、③面接対策・書類添削を無料で伴走してもらえることの3点だ。厚生労働省の2026年「雇用動向調査」においても、IT職種での「職業紹介機関経由」の転職比率は年々増加傾向にある。エンジニア専門エージェントに2〜3社同時登録し、初回面談の質を比較してから絞り込むのが、2026年のスタンダードな転職戦略だ。
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読者の声:38歳・派遣でも書類って本当に通るの?
回答:スキルと求人の需給が合えば、年齢は二番目の問題になる。
AWSやJava・Python・クラウドインフラの経験があれば、2026年現在も慢性的に人手不足のSaaS企業・中規模SIerでは書類を積極的に通す傾向がある。厚生労働省が公表している「IT人材の需給に関する調査(2026年版)」でも、IT職種の需給ギャップは引き続き拡大傾向にあると報告されている。
「35歳限界説」はスキルのミスマッチが起きているケースに当てはまる話で、需要のあるスキルを持っているなら年齢だけで弾かれるリスクは想像より低い。
読者の声:複数エージェントに登録すると同じ企業に重複応募してしまわない?
回答:重複は起きやすいので、最初から自分で管理リストを作るべき。
複数エージェントを使うと、同一企業の同一求人に別々のエージェント経由で応募してしまうケースがある。これをやると採用担当が混乱し、選考を止められることがある。対策はシンプルで「企業名・エージェント名・応募日」をスプレッドシートで記録するだけでいい。3社以内の登録なら管理の手間は大きくない。エージェントに「他社でも活動している」と正直に伝えると、エージェント側も求人の重複チェックをしてくれることが多い。
読者の声:担当者と話が合わなかったらどうする?
回答:担当者の変更依頼は普通にできる。遠慮しなくていい。
初回面談で「この人と話が合わない」「求人の提案がズレている」と感じたら、エージェントのマイページや電話で担当者変更を依頼できる。転職エージェントの担当者変更は珍しくなく、多くのエージェントは受け付けている。逆に相性のいい担当者に当たれば、非公開求人の紹介や面接の調整など動きが大きく変わる。最初の面談は「この担当者と進めるかどうかを判断する場」と思って臨んだ方がいい。
転職後にやった固定費の整理
年収が上がったとき、最初にやったのは「支出の見直し」だった。
収入が増えても支出が同じままだと、余裕ができた分を惰性で使い切る。転職後1ヶ月以内に、口座から自動で引き落とされている固定費を全部洗い出した。
その中で5年間放置していたのが光回線だった。NTTのフレッツ光をそのまま使い続けて月額6,200円払っていたが、ソフトバンク光に乗り換えると月額約5,000円で使える。月差額1,200円、年間14,400円の削減になる。さらに乗り換えキャッシュバック最大40,000円・工事費実質無料がつく(2026年4月時点の公式情報による)。5年間気づかなかった自分に腹が立った。SoftBankやY!mobileのスマホをすでに使っているなら、セット割で月額がさらに下がる。固定費の中でも光回線は「一度乗り換えれば毎月自動で節約が続く」タイプの出費なので、転職直後のタイミングで動いておくのが正解だった。
転職後に初めてちゃんと向き合った、投資口座の話
手取りが月25万になり、ボーナスが年2回つくようになった。固定費を削って余剰資金が生まれた段階で、次に向き合ったのが投資口座の話だ。
転職活動中によく調べていたのがSBI証券と楽天証券のNISA口座比較だった。2026年時点では、SBI証券はクレカ積立の月上限が10万円でポイント還元率0.5〜5%、楽天証券は楽天カードとの積立相性がよく楽天経済圏をすでに使っている人に向いている。 新NISA(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)はどちらの口座でも対応している。SBI証券・楽天証券のどちらが自分に合うかは、クレカのポイント経済圏と積立額で決まることが多い。
ただ、SBI証券・楽天証券のNISA積立だけでは、米国個別株やCFD取引は触れない。米国株まで手を広げたいなら別途取引口座が必要になる。
選んだのはDMM株だ。口座開設+1回の取引で最大10,000円相当の報酬が受け取れる(2026年4月時点の公式キャンペーン情報による)。米国株と日本株の両方に対応していて、画面がシンプルで最初の取引から迷わない。NISAとは別枠で持つ「攻めの口座」として使い始めた。
株に慣れてきてレバレッジ取引まで視野を広げたい場合はDMM CFDも選択肢に入る。金・原油・株価指数の差金決済取引が全銘柄手数料0円で使えて、入金特典もある。ただしCFDはリスクが高い商品のため、まずDMM株で現物取引に慣れてからの方が資産を守りながら学べる(※投資には元本割れのリスクがあります)。
転職エージェントを使うかどうか迷っている人へ
転職アプリ3つを2週間放置した経験から言えることは一つで、「動き出す前に完璧な準備をしようとすると、永遠に何も始まらない」ということだ。
エージェントへの登録に必要なのは、職務経歴とスキルセットを正直に書くことだけ。書類の整理も面接練習も、担当者が一緒にやってくれる。38歳・派遣という条件で動いた結果が7週間後の内定なら、動かない理由を探すより今日フォームを開く方が確実に速い。
まずエンジニア系エージェント2〜3社に同時登録し、初回面談の質を比べることから始めてほしい。 今月登録すれば、来月には面接が入り始める。転職も、光回線も、投資口座も。気づいてから動き出すまでの時間が、そのままコストになる。


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