3月の最終週、午後2時。派遣先の会議室に人事担当者から呼ばれた。
「次回の更新については、少し状況が厳しくて……」
38歳、派遣3年目、東京、手取り22万。貯金は24万しかない。 東京で家賃8万5千円払って、食費と通信費で月6万使えば、残り7万5千円。5月末で収入がゼロになったら、3ヶ月で底をつく計算だ。
その夜、5年間着回しているリクルートのスーツをクローゼットにしまいながら、10年前の自分を思い出した。28歳のとき、転職アプリを3つダウンロードして、2週間でログインしなくなった。あの頃に転職エージェントをちゃんと使っていれば、今ここにいなかったかもしれない。
— 転職エージェントとは、求職者に無料で求人紹介・書類作成・面接対策・条件交渉のサポートを行う人材紹介サービスのこと。費用は企業側が全額負担するため、求職者は一切無料で利用できる。
転職アプリを3つDLして、2週間でログインしなくなった理由

28歳のとき、転職を考えてリクナビNEXT、マイナビ転職、ビズリーチの3つのアプリを入れた。プロフィールを入力して、求人を何件かスクロールして、応募ボタンの前で止まった。
怖かったのだ。「登録したら電話が来て、無理やり転職させられそう」「自分みたいな職歴のやつに、エージェントは相手にしてくれない」という根拠のない思い込みで、そのまま放置した。
実際は違った。 転職エージェントの費用は求職者ではなく企業が負担する仕組みだ。担当者は「今はまだ転職を迷っている」と言っても怒らない。「まず話を聞くだけ」でもいい。使わない理由が何もなかったのに、「怖い」「スペックが足りない」というだけで手を止めた。
結局その後、IT系の仕事を転々として、34歳から派遣を3年続けている。近所の靴屋で7,800円の革靴を買ってから4年が経つ。
リクルートエージェントとdoda、20代ならどちらを選ぶか

2026年時点で、20代が転職エージェントを初めて使う場合によく比較される2つがある。
リクルートエージェントは、求人数が業界最大級とされている。職種・業種を問わず対応しており、20代未経験転職も対応可能な求人が多い。書類通過率の高い案件を優先提案してくれるスピード感が強みで、「とにかく動き始めたい」人向きだ。
dodaは、求人票の情報量に定評がある。残業時間の実態や職場環境の記載が充実しており、「入ってから聞いた話と違う」というミスマッチが起きにくい。初めてエージェントを使う20代には馴染みやすい設計になっている。
俺が28歳のとき、年収は約280万台だった。スキルは事務処理と数字管理くらい。職歴も地味だった。そういう人間でも、担当者は「この案件なら可能性があります」と正直に教えてくれる。転職サイトのアルゴリズムより、人間のエージェントのほうがよっぽどリアルな情報をくれる。
同じ会社に3年以上在籍した経験があるなら、リクルートエージェントから始めるのが効率的だ。短期離職が続いていたり正社員経験が少なかったりするなら、後述のハタラクティブのほうが向いている。
ハタラクティブを25歳の俺が知っていたら
20代・第二新卒・正社員未経験に特化した転職エージェントとして、ハタラクティブやジェイックの名前が挙がる。
俺が25歳のとき、短期バイトと派遣を繰り返していた時期があった。そのときにこういった20代特化のサービスを使っていたら、今とは全然違うキャリアになっていたと思う。
25歳という数字は、転職業界では「未経験でも可能性がある時期」として重要視されている。 「ポテンシャル採用」という言葉があるが、これは実質的に20代前半〜中盤にしか通用しない。28歳を超えると選択肢が徐々に絞られていく。
「自分にはまだ早い」は嘘だ。早すぎることはない。
このページで言いたいことを3行で
転職エージェントは無料で、20代が使うほど費用対効果が高い。選択肢が多い時期に専門家の力を借りることで、年収が数十万単位で変わる可能性がある。
2026年版 厚生労働省「労働経済の分析」によると、転職者のうち賃金が増加した割合は全体の約35〜40%程度となっている。全年齢を含む数字だが、20代に絞ると特に伸びしろが大きい。エージェントを通じた転職は、自己応募よりも年収交渉の成功率が高いとされる。
登録は5分、相談は無料。使わない理由がない。
「転職エージェントって自分みたいな人間が使っていい?」
回答:使っていい。むしろ20代しか入れない窓口がある。
ハタラクティブ・ジェイック・ウズキャリ等は正社員経験が少ない20代専門のサービスだ。リクルートエージェントやdodaにも、20代未経験歓迎の求人は多数ある。「自分には早い」「スペックが足りない」という思い込みは、28歳で転職アプリを閉じてそのまま38歳になった俺が証明している。
「複数のエージェントに登録したら迷惑じゃない?」
回答:むしろ2〜3社が標準だ。
エージェントによって保有求人が異なるため、複数登録して比較するのが一般的な使い方だ。担当者もそれを織り込み済みで動いている。最初は2社からスタートして、連絡が丁寧だと感じたほうに絞っていくだけでいい。
転職が決まったら、次はNISAだ
転職エージェントで収入が改善した後、次に動くべきことがある。新NISAの口座を開設すること。
2026年時点でも「SBI証券と楽天証券でNISAはどっちに作るべきか」という検索は多い。結論から先に書く。
楽天ユーザーなら楽天証券、それ以外はSBI証券が現状の標準解だ。
SBI証券のNISAは投資信託のラインナップが豊富で、三井住友カード積立でポイント還元率1〜5%が得られる(カード種類による)。楽天証券は楽天ポイントとの連携が便利で、楽天カード積立で1%のポイントが付く。どちらも手数料0円で、つみたて枠年間120万円・成長投資枠年間240万円という非課税枠は共通だ。
ただし俺が選んだのはDMM株だ。新規口座開設と1回の取引で最大10,000円相当のキャッシュバックがあり、米国株・日本株の両方に対応している。SBI証券や楽天証券のつみたてNISAと並行して、個別株を少し触ってみたい人間には向いている。操作画面がシンプルで、初めて株を買うときの感覚を掴みやすい。
「SBI証券と楽天証券でNISA、2026年版どっちがいい?」
回答:使っている経済圏に合わせるのが最も合理的な答えだ。
楽天市場・楽天カードをよく使うなら楽天証券。それ以外は、投資信託の本数とポイント還元率の面でSBI証券が有利になるケースが多い。ただし「口座を作らずに悩み続けること」のコストのほうが、どちらを選ぶかの差より圧倒的に大きい。まず1つ開設して走りながら調整するほうが、何年も迷い続けるより賢い。
月1,000円の固定費を5年間放置した代償
転職で収入が上がったとして、固定費の見直しも合わせてやる。
乗り換えていないだけで光回線が割高のままになっている家庭は少なくない。ソフトバンク光は、2026年4月時点の公式情報によるとキャッシュバック最大40,000円・工事費実質無料のキャンペーンを実施している。SoftBankまたはY!mobileのスマホユーザーはセット割でさらに月額を下げられる。
引越しや転職のタイミングは光回線を見直す最適な機会だ。放置し続けると、月1,000〜2,000円の差が5年で最大120,000円の差になる。
38歳の俺から20代の読者へ
転職エージェントに登録するために、キャリアも職歴も関係ない。
5年着回したリクルートのスーツと7,800円の革靴で、俺は今日も面接に行ける。でもそれよりも、20代のうちに転職エージェントを使って、1つでも「正社員として入りたい会社」に申し込んでおくべきだった。 それだけで、38歳になったとき立っている場所が違った。
まずリクルートエージェントかdodaに登録して、担当者と1回話す。それだけでいい。5分あればできる。
転職して収入が安定したら、DMM株で口座を開設してNISAを動かす。固定費も光回線から見直す。順番は転職→投資→固定費で、一度にやろうとしなくていい。
俺は今からやる。10年遅れたが、38歳でもまだ間に合うと信じている。


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