夜11時24分、SESの定例MTGを終えてアパートに帰り着いた。シャワーを浴びる前に、なぜかスマホで楽天証券のアプリを開いた。積立NISAの残高画面に127,843円と表示されている。月1万円を14ヶ月続けた結果だ。
— 楽天証券とは、楽天グループが運営するネット証券で、2026年時点で口座数1,000万を超える国内最大規模のネット証券の一つ。新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)の口座開設数も国内最大水準とされている。
老後2000万円問題を知ったのは去年の夏だった。記事を読んだ夜、眠れなかった。次の日も眠れなかった。年収430万、31歳、独身、SES勤務。「今から動かないと取り返しがつかない」と思って、翌週末には楽天証券の口座を開いていた。
開設の理由はシンプルだった。楽天カードで積み立てれば月500ポイント還元。楽天市場もよく使うし、エコシステムに乗っかるほうが得だと思っていた。
でも14ヶ月後の夜11時、127,843円を見ながら初めてちゃんと計算した。月1万円・年利5%の運用を65歳まで続けても約980万円。2000万円には遠く及ばない。月2万円に増やしても、65歳時点で約1,960万円。それも今すぐ倍増させた前提だ。
楽天証券を開いた判断自体は間違っていない。ただ「楽天ポイントがあるから楽天証券でいい」という理由で思考停止した1年は、もう少し賢く使えた。
1年使って見えてきた楽天証券の「3つの後悔」

後悔①:クレカ積立の還元率がいつの間にか下がっていた
楽天証券の最大の売りは「楽天カードで積立投資するとポイント還元される」だった。だが2022年以降、一般の楽天カードによる投資信託積立は0.5%還元に改悪されている。月1万円積み立てで得られるのは毎月50ポイント。年間600ポイント。正直、誤差だ。開設時に確認しなかったのは完全に自分のミスだが、事前に調べていれば別の選択肢を比較していたはずだ。
後悔②:「楽天証券にしかないもの」が実はほぼない
「eMAXIS Slim 全世界株式が買えるから楽天証券」という声はよく聞く。でも2026年現在、SBI証券でも同じファンドを同じ信託報酬で購入できる。楽天証券にしかない主要インデックスファンドは存在しない。差別化要素として語られていたものが、実質的に消えている。
後悔③:楽天経済圏への依存が「乗り換えコスト」になる
楽天証券を選んだ理由が「楽天ポイントが使えるから」だけなら、それは楽天グループへの依存だ。楽天グループは2024〜2025年の決算で金融セグメントの収益圧迫が続いており、今後も追加のサービス改悪リスクはゼロではない。実際に2022年の還元率改悪後、「楽天証券からSBI証券へ乗り換えた」という事例は増えている。口座移管のコストを後から払うくらいなら、最初から比較しておくべきだった。
SBI証券 vs 楽天証券 NISA 2026年版の実力差

2026年現在、新NISAの積立投資でSBI証券と楽天証券のどちらが優位か。結論:積立NISAの使い勝手はSBI証券がやや優位。
理由は三つある。
一つ目はクレカ積立の還元率。SBI証券は三井住友カード(NL)で0.5〜1.0%還元、プラチナプリファードなら最大5%還元。楽天証券の一般カード0.5%に比べると、カード選択次第でSBI証券が大きく上回る。
二つ目は銘柄の拡張性。SBI証券は米国株・海外ETFの取扱銘柄数が多い。個別株やFXへの拡張を視野に入れているなら、最初からSBI証券に口座を開いておけば後の乗り換えコストがかからない。副業の時間はある、でも個別株・FXは未着手——という31歳の状況なら、この点が将来的に効いてくる。
三つ目はグループ全体の財務健全性。金融庁が公表する「金融機関のガバナンス報告書(2025年版)」では、ネット証券各社の財務健全性の差異が指摘されている。楽天グループの連結有利子負債はモバイル事業の影響で高水準が続いており、サービス改悪リスクを完全に無視はできない。
一方、楽天証券が優位な点もある。楽天銀行との口座連携(マネーブリッジ)で普通預金金利が年0.1%になる点は、メガバンクの0.001%と比べると実質的なメリットだ。楽天ポイントを毎月1,000ポイント以上消化できる人なら、楽天証券で投資に回すほうが現実的な場合もある。
読者の声①:楽天ポイントで投資できるって実際どのくらいおいしいの?
Q:楽天ポイントで投資信託が買えると聞きました。これって本当においしいですか?
結論:おいしいが、証券口座を選ぶ根拠にはならない。
楽天ポイントを投資信託の購入に充てられるのは事実で、月に数百〜数千ポイントを持っている人には活用メリットがある。ただし、月50〜100ポイントの差は年間で最大1,200円以下。投資判断の本筋(どのファンドをどのカードで積み立てるか)が変わらないなら、ポイント還元は意思決定の主因にはなれない。「楽天ポイントが余っている」なら楽天証券を使い続ける合理性はあるが、「楽天ポイントのために楽天証券を選ぶ」は本末転倒になりやすい。
ここが全体の結論:楽天証券は悪くないが、2026年に新規で始めるなら再考の余地がある
楽天証券は使いにくい証券会社ではない。UIはシンプルで、eMAXIS Slimも手数料ゼロで買える。初心者が迷うポイントも少ない。
ただし2026年時点で投資を新規で始めるなら、SBI証券と比較してから選ぶべき理由が複数ある。クレカ積立の還元率、銘柄の拡張性、グループの財務健全性——この三点でSBI証券がやや優位に立っている。楽天証券を選んで「後悔した」という人の多くは、ポイント還元に引き寄せられて深く比較しなかったことを悔いている。2年後に乗り換えコストを払う羽目になった、という話は珍しくない。
読者の声②:NISAはSBI証券と楽天証券、どっちで口座を開けばいい?
Q:新NISAを始めようと思っています。SBI証券と楽天証券どちらが正解ですか?
結論:個別株・FXへの拡張を視野に入れているならSBI証券が優位。楽天経済圏をフルに使っている人なら楽天証券でも損はない。
ただし重要な前提がある。NISAは1人1口座しか持てない。楽天証券でNISA口座を開設した後にSBI証券へ移すには「廃止通知書の取得→翌年から新口座で開設」という手順が必要で、移管中はNISAを使えない期間が発生する。最初の選択が重要なのはそのためだ。
「いずれ個別株や米国株ETFに挑戦したい」という気持ちが少しでもあるなら、最初からSBI証券にしておくほうが後の手間がない。月1万円の積立だけを続けるなら、どちらを選んでも大差はない。
読者の声③:楽天証券からSBI証券への乗り換えは実際どのくらい面倒?
Q:今、楽天証券でNISAをやっています。SBI証券に移すのはどのくらい面倒ですか?
結論:NISA口座の移管は手間がかかるが、一般口座の新規開設は今すぐできる。
NISA口座の移管は、現在の証券会社で「勘定廃止通知書」を取得し、翌年から新しい証券会社でNISA口座を開設するのが一般的な手順。今年の積立はそのまま継続し、翌年分から移行する形になる。手続き書類は1〜2枚だが、移管期間(1〜2ヶ月)はNISAが使えない点に注意が必要だ。
一方、課税口座(特定口座)は複数の証券会社に同時に持てる。まずSBI証券やDMM株で特定口座を開設し、使い勝手を確認してからNISA移管を検討するのがリスクの低い動き方だ。
楽天証券・SBI証券に迷う人が見落としている「もう一つの入口」
ここまでの比較を踏まえて、31歳・年収430万・副業の時間がある、という条件で考えると、積立NISAと並行して少額から個別株・米国株の感触をつかむ口座を持つことも選択肢に入る。
その入口として使いやすいのがDMM株だ。
新規口座開設+1回の取引で最大10,000円相当のキャッシュバックがある(2026年4月時点の公式キャンペーン情報による)。米国株・日本株の両方に対応しており、UIがシンプルで楽天証券・SBI証券と並べて持つ人も多い。NISAには未対応だが、特定口座での個別株取引や米国株ETFへの入口として機能する。積立NISAで月2万円を継続しながら、余裕資金で個別株の感触をつかむ——その最初の一歩として使いやすい。口座開設フォームは5分で入力が完了し、審査は最短当日だ。
さらに、FX・差金決済取引(CFD)に興味があるならDMM CFDも知っておいてほしい。全銘柄の取引手数料が0円で、入金するだけで14,200円の特典が受け取れる(2026年4月時点の公式キャンペーン情報による)。レバレッジを使う取引のため中〜上級者向けだが、口座は無料で開設できる。老後2000万円を積立だけで目指すのか、運用の幅を広げるかを考える前に、選択肢として把握しておくだけでいい。
夜11時24分に出た「次の一手」
127,843円の残高画面を閉じた後、自分はこの順番で動いた。
①つみたてNISAの積立額を月1万円から月2万円に増額する。残業代が入る月だけでもいいから上限に近づける。月2万円・年利5%・34年で試算すると約1,960万円。老後2000万円まであと一息だ。
②DMM株で特定口座を開設する。NISAと並行して米国株・日本株の感触をつかむ入口として。口座開設+1回の取引で最大10,000円相当が返ってくる今のタイミングを使わない理由がない。
③SBI証券との比較を来年のNISA移管前にもう一度する。今年の積立は楽天証券のままで継続し、年末に乗り換えるかどうかを判断する。
楽天証券を選んだこと自体は失敗ではなかった。ただ「ポイントがあるから」という理由だけで止思考を止めたのは失敗だった。同じ状況にいるなら、まずDMM株の口座開設フォームを開いてみてほしい。5分で完結する。その5分が、夜11時にスマホを開いて固まった夜より、確実に前に進む一歩になる。


コメント