23時12分、SES会社員の6畳間。
画面の右タブはSBI証券のNISA口座開設ページ。左タブは楽天証券のそれ。どちらを開くかを、3週間考えたまま眠れずにいた。
年収430万円、残業は月30時間ほど、手取りは月29万円前後。毎月の積立は3年前から変わらず月1万円。今日時点の積立元本は36万円ちょっと。月1万円を年率5%で30年運用すると試算してみると約832万円にしかならない。老後に必要とされる2000万円との差は1168万円。——この計算を頭の中でぐるぐるさせていた夜が、今年だけで2回ある。
「SBI証券と楽天証券、比較してみた」という記事はネットに山ほどある。でもどれも最後は「どちらも使いやすい」「自分に合ったほうを選びましょう」という結論に着地する。それじゃ困る。NISAの口座は一人一証券会社・一口座しか持てない。どちらかに決める必要がある。
— 新NISA(少額投資非課税制度)とは、2024年から恒久化された投資非課税制度。つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)を合わせ、年間360万円・生涯1800万円まで運用益が非課税になる。NISA口座は原則1人1口座のみ。
「手数料が同じ」は月1万円の現実を見ていない

国内株の取引手数料は、SBI証券は「ゼロ革命」で現物・信用ともに無料。楽天証券は「ゼロコース」で同様に無料。米国株も約定代金の0.495%(最低0米ドル・最大22米ドル)でほぼ横並びだ。インデックスファンドの信託報酬も、同等の商品を選べばほとんど変わらない。
だが「手数料が同じだから好みで選べ」は、クレカ積立のポイント還元差を無視している。
SBI証券は三井住友カード(ナンバーレス)との組み合わせで、クレカ積立のポイント還元が適用される。年会費無料カードで月10万円積立時の還元率は0.5%(利用条件によって変動)、三井住友カードゴールドNL(年100万円以上利用で翌年以降年会費永年無料)なら同1.0%になる(2026年4月時点の公式情報による)。
楽天証券は楽天カード+楽天キャッシュで月10万円まで積立対応。楽天キャッシュ決済分の還元は0.5%相当(2026年4月時点)。日常消費が楽天圏に集中していれば、楽天ポイントの使い回しで還元をさらに活用できる。
月1万円の積立では、クレカ還元差は年間600円以下の話にしかならない。だが月5万円に増額すれば年間3000〜6000円の差、月10万円なら6000〜12000円の差になる。月1万円で止まっているうちは差が小さく見えるが、増額を前提に選ぶなら無視できない数字だ。
楽天経済圏との距離が選択の分かれ目になる

SBI証券のポイントはVポイント(三井住友グループ系列)。楽天証券のポイントは楽天ポイント。どちらを日常的に積み上げられるかは、普段の消費行動がどちらの経済圏に近いかによって決まる。
自分の場合を例に書く。
毎月の主な支出はAmazon(書籍・日用品で月1〜2万円)、近所のスーパー(Suica払い)、外食(PayPay加盟店が多い)。スマホはahamo。楽天市場を使うのは楽天スーパーSALEの年2回程度。楽天モバイルは使っていない。
この消費パターンだと、楽天ポイントが貯まる機会は少ない。Vポイント連動のSBI証券のほうが、日常消費との相乗効果が出やすいという仮説が立つ。
逆に、楽天市場で月3万円以上使う、楽天モバイルを利用している、楽天Payを日常払いにしているという人は、楽天証券でNISA口座を保有することで楽天経済圏全体のポイント効率が上がる場合がある。楽天証券でNISAを持つことが、楽天市場でのポイント倍率条件に影響する仕組みがあるためだ。
「楽天ユーザーなら楽天証券、それ以外はSBI証券」は単純な二択に見えるが、実際の選択基準として7〜8割の人に当てはまる。
金融広報中央委員会のデータが示す30代の現実
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2025年版)」によれば、30代単身世帯が保有する金融資産(預貯金・株式・投資信託等の合計)の中央値は100万円台前半の水準とされている。金融資産ゼロの世帯を含めた分布では、多くの30代がNISAで「貯め始める」段階に今まさにいる。
2024年の新NISA開始以降、各社の証券口座開設者数は急増した。特に20〜30代の新規開設が顕著で、NISA口座を持つことが「当たり前」になりつつある年代だ。
これが意味するのは、今の段階でまだNISA口座を開設していない31歳は、少数派に近づきつつあるということだ。非課税運用の時間は長ければ長いほど有利に働く。「来月から始める」を繰り返すコストは、毎月静かに積み上がっている。
SBI証券 vs 楽天証券 2026年、条件別の結論
楽天市場・楽天モバイルを日常的に使っているなら楽天証券。それ以外の消費パターンなら、クレカ積立還元率でSBI証券+三井住友カードが現状優位。
ただし差は大きくない。最も重要なのは「どちらかで口座を開いて、積立額を今より上げること」だ。SBI証券と楽天証券のどちらが正解かを迷い続けている時間のほうが、もったいない。
口座を迷っているなら、まず自分の月次支出のうち楽天サービス経由の割合を確認する。楽天市場で月1万円以上の購入実績がある、またはスマホが楽天モバイルなら楽天証券を選ぶ。そうでなければSBI証券と三井住友カード(NL)の組み合わせで始める。どちらも無料で口座開設でき、手続きはオンラインで完結する。
読者の声:NISA口座はSBI証券と楽天証券に両方持てますか?
Q. SBI証券と楽天証券の両方にNISA口座を開けますか?
A. NISA口座は1人1口座のみ。同時に2社では保有できない。 特定口座(課税口座)なら複数の証券会社で開設できるため、特定口座を楽天証券・NISA口座をSBI証券、という形は可能だ。NISA口座の金融機関変更は毎年10月〜翌年9月の手続き期間中に申請でき、翌年分から有効になる。今年すでにNISAを使った後は、同年中の変更は不可能な点に注意が必要だ。
読者の声:楽天証券とSBI証券、手数料以外で何が違うのか
Q. 2026年時点でSBI証券と楽天証券はNISAの運用コスト以外に何が違いますか?
A. 実質的な差は3点に集約される。
読者の声:月1万円のNISAでは老後2000万円に届かないのでは
Q. 月1万円のつみたてNISAで老後は本当に大丈夫ですか?
A. 数字として、届かない。だから増額か、別の手段が必要だ。
月1万円を年率5%で30年複利運用すると約832万円(非課税前提、元本360万円含む)。2000万円には1168万円届かない。月3万円なら約2496万円、月5万円なら約4160万円の試算になる。
月1万円で3年止まっている現状を変えるには、①本業の手取りの中から積立額を増やす、②副業収入の一部を積立に充当する、③NISAとは別軸の運用手段を学習する、の3つが現実的な選択肢になる。残業月30時間で副業の時間を確保できる状況なら、②と③を並行して進めることは難しくない。
NISAの次を考え始めたとき:DMM CFDという選択肢
副業収入の一部を「長期積立以外の運用の学習」に充てる選択肢として、CFD取引がある。
DMM CFDは差金決済取引(CFD)のプラットフォームで、全銘柄取引手数料0円。株価指数・コモディティ・外国株などをレバレッジをかけて取引できる仕組みだ。NISAの長期積立とは根本的に異なる金融商品で、リターンも損失もレバレッジ倍に増幅されるリスクがある。
重要な注意:CFD取引は元本が保証されない。損失がレバレッジ倍になる可能性があり、仕組みと資金管理の理解が前提になる。 余剰資金の範囲内で始め、少額から試すことが大前提だ。
NISAで長期積立を続けながら、別枠でCFDを学習目的の少額から試す、という活用のしかたを検討する人がいる。口座開設は無料でオンライン完結できる。
3週間の迷いを今週中に終わらせる手順
SBI証券か楽天証券か。3週間考え続けた末に自分が出した結論と、次に動く手順を書く。
1. 楽天サービスへの依存度を確認する。 楽天市場で月1万円以上の購入実績がある、またはスマホが楽天モバイルなら楽天証券を選ぶ。そうでなければSBI証券。
2. SBI証券を選ぶなら、三井住友カード(NL)の申込を口座開設と同時に進める。 年会費無料で発行でき、クレカ積立のポイント還元がすぐに有効になる。
3. 積立額を月1万円から引き上げる。 最低でも月2万〜3万円。つみたて投資枠の年間上限は120万円(月10万円)。今は上限の10分の1しか使っていない。
4. iDeCoは緊急予備費(生活費3〜6ヶ月分)を確保してから検討する。 60歳まで引き出せない縛りがあるため、資金の流動性を保つ順序で進める必要がある。
NISA口座の開設申込はオンラインで最短数日で完了する。申込から積立開始まで翌月以降になるケースが多いため、今月中に動けば来月から非課税運用が始まる。
月1万円で3年間止まっていたのは、始めたこと自体は正しかった。でも止まり続けることで、毎月の非課税枠が空白のまま消えている。 今週末のうちに口座開設申込を終わらせることが、この3年を動かす最初の一手だ。
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